復讐と謎に満ちた傑作!ファイアパンチのネタバレ解説・考察!【1〜4巻】

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鬼才・藤本タツキ先生が描く長編漫画『ファイアパンチ』は、藤本タツキ作品を語る上で絶対に見逃せない作品です。

過酷な環境と狂気が入り混じる世界観で繰り広げられる主人公たちの戦いは、思わず一気読みしてしまうほどの中毒性があります。

この記事では、『ファイアパンチ』のコミックス1〜4巻のネタバレをまとめました

まだ読んだことがない人は、ぜひ最後まで記事をチェックして、『ファイアパンチ』の言葉にできない面白さを体感してみてください。

漫画『ファイアパンチ』とは
引用:shonenjump_official

漫画『ファイアパンチ』は、2016年にスマホアプリ『少年ジャンプ+』で連載開始したダークファンタジー作品です。コミックスは全8巻あります。

また、宝島社が毎年発表している漫画賞の『このマンガがすごい!2017オトコ編』で、第3位に入賞したことで話題になりました。

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目次

『ファイアパンチ』の登場人物を紹介(1〜4巻)

引用:少年ジャンプ+

漫画『ファイアパンチ』の1〜4巻に登場する主要人物をご紹介します。

  • アグニ
  • ルナ
  • サン
  • ネネト
  • ドマ
  • ユダ
  • ジャック
  • イワン
  • サイモン
  • トガタ
  • バットマン
  • 氷の魔女(スーリャ)

アグニ

©︎藤本タツキ『ファイアパンチ』第3巻より

身体を再生する能力を持った祝福者。初回登場時は15歳の少年。

『炎』を求めた餓死寸前の男たちに両親を殺されて、妹と2人で生きていた。

祝福者で<再生能力>を持っており、妹とともに食糧難が続く村の人々に自身の腕を食糧として提供していた。

祝福者・ドマに腕を触れられて炎が身体から消えなくなり、物理的にも精神的にも憎しみの炎を宿した存在になる。

ルナ

©︎藤本タツキ『ファイアパンチ』第1巻より

アグニの妹で、アグニと同じ<再生能力>を持った祝福者。

能力はアグニに劣っていて、炎で燃やされた時は身体の再生が間に合わず苦しみながら死んでいった

兄のことを溺愛していて、兄と家族を作ることが夢だった。

サン

©︎藤本タツキ『ファイアパンチ』第1巻より

電流を操る祝福者の少年。

べへムドルグ兵に捕まり殺されそうになっていたところを、偶然アグニに助けられる。

幼さゆえに『口減らし』として村から追い出すと兄に言われたが、実際は村で流行していた疫病にかからせないために逃された。

天然な性格が周囲のペースを狂わせることもあるが、時には希望を与えている

ネネト

©︎藤本タツキ『ファイアパンチ』第1巻より

13歳の少女。

べへムドルグ兵に奴隷として捉えられて、サンと一緒にべへムドルグ兵たちを欺き、脱出を企んでいたが失敗に終わった。

トガタと出会い、『カメラガール』に任命される

ドマ

©︎藤本タツキ『ファイアパンチ』第1巻より

対象のものを、焼け朽ちるまで燃やし続ける能力を持つ祝福者。

べへムドルグ兵の1人で、ルナを殺しアグニに復讐の炎を灯した張本人

精神を病んでいて、ルナを殺したことを覚えていなかった。

ユダ

©︎藤本タツキ『ファイアパンチ』第3巻より

アグニと同じ身体を再生する能力を持った祝福者。

再生能力が高い。べへムドルグ兵の1人で、ルナと全く同じ顔・声・髪をしている

130年も生きているためか、物事に対する感情の起伏が薄くなっている。

幼い頃、父に『神の声が聞こえる演技』をするようにしつけられていた。

ジャック

©︎藤本タツキ『ファイアパンチ』第1巻より

あらゆる怪我を治療できる能力を持つ祝福者。

べへムドルグ兵の1人で、サンとネネトの見張りを任された人物でもある。

イワン

©︎藤本タツキ『ファイアパンチ』第2巻より

身体を再生する能力を持つ祝福者。

べへムドルグ兵の1人で、ジャックの弟。

サイモンの弟子として、戦い方を教わっていたがトガタによって瞬殺された

サイモン

©︎藤本タツキ『ファイアパンチ』第2巻より

身体を再生する能力を持つ祝福者。

90年近く生きている。

べへムドルグ兵の1人で、イワンに戦闘の極意を教えていたが、トガタと戦って瞬殺される

トガタ

©︎藤本タツキ『ファイアパンチ』第2巻より

身体を再生する能力を持つ祝福者。

300年生き続けていて、身体能力の高さが並外れている。

父の残した映像作品を鑑賞することが生きがいで、べへムドルグ兵に家ごと爆破されて映像作品の全てを木っ端微塵にされた時は自殺を試みたが、祝福のせいで死ねなかった。

仲間たちにアグニの存在を知らされ、自身で『ファイアマン』と名付けたアグニの姿を映像に残して、映画を作ることを新たな生きる目標にする

バットマン

©︎藤本タツキ『ファイアパンチ』第4巻より

人の心の中を断片的に覗き見ることができる祝福者。

幼い息子がアグニに救われ、穏やかに死なせることができたことを感謝しているアグニ信者でもある。

顔を隠すマスクと、扱う武器がバットであることが特徴的

氷の魔女(スーリャ)

©︎藤本タツキ『ファイアパンチ』第4巻より

突如、アグニの前に姿を現した謎の人物。

自身のことを『氷の魔女』と名乗ったが、本名は『スーリャ』。

顔が見えないほど深くフードを被っているが、ユダに見せた素顔はユダそっくりだった。

全ての祝福が使える『旧世代人』で、野望のためにユダを利用しようとしている。

『ファイアパンチ』1〜4巻をネタバレ解説

今回は、『ファイアパンチ』のコミックス1〜4巻までのネタバレの内容を巻数ごとにまとめました。

1巻(1話〜8話)

引用:Amazon

選ばれた人間だけが奇跡のような能力『祝福』を使える時代。世界は『氷の魔女』と恐れられていた祝福者の能力によって氷漬けにされて、寒さと飢餓に苦しむ人類で溢れていました

とある村では、身体を再生する能力が使える祝福者の兄妹・アグニとルナが、自分たちの身体の一部を切り落として、食料にするように村人たちへ配り歩くことで、村を守っていました。

一方で、人肉を食べることに抵抗がある村人が死んでいく日々も珍しいことではありません。

ある日、アグニが絶滅寸前の鹿を狩って村に持って帰ろうとしていた時、飛行機が村のほうへ飛んでいくところを見かけます。

急いで村に戻ったアグニは、村人たちが兵士に拘束されている光景を目の当たりにして、兵士たちを統率していたドマという男に迫りました。

村人の中で唯一の若い男だったアグニに興味を示したドマは、アグニの腕を掴むと、「村から食料を奪う代わりに、べへムドルグの国民として迎える」と話します。

『べへムドルグ』とは、国王が治める自由の国だと熱弁するドマ。兵士を集めて戦力が整った暁には、氷の魔女を倒して国に豊かな緑を取り戻すのだとアグニに語ります。

しかし、アグニを含む村人たちがべへムドルグ兵たちに連れて行かれることはありませんでした。

なぜなら、べへムドルグ兵たちによって家で確保していた人肉が見つかった村人たちは、正義感が強いドマから見放されるからです。加えて、炎の祝福を持つドマは村人たちを1人残らず焼き殺して去っていきます

復讐の始まり

焼け朽ちるまで消えない炎を身体に宿し、再生の祝福とともに終わりが見えない熱さと痛みに苦しむアグニは、妹・ルナが無事であることを願いつつ、自身の死も願いました。

死後の世界で、幼い頃に亡くなった両親との再会を思い描くアグニ。

「にいっ…さん…生きて…」

アグニと同じ祝福を持っていながら、弱い再生力で今にも全身が炎に焼かれて塵になっているルナの姿を見たアグニは、ドマに復讐を誓います。

身体に宿って消えない炎は復讐の炎に変わり、炎と再生能力の共生を『8年』かけて身に付けたアグニは燃える拳を握り、手始めに奴隷を輸送していたべへムドルグ兵たちを皆殺しにしました。

サンとユダ

解放された奴隷たちはアグニの旅の安全を願い、アグニを『神様』と崇める少年・サンは、アグニの旅に同行することします。

道中でべへムドルグ兵たちの襲撃を受けたり、雪崩で遭難しかけたりした2人。尿意を催したサンに構わず、アグニは雪の向こうに見えた家に向かって歩いていき、2人ははぐれてしまいました。

尿を出し終わったサンが、アグニが通った雪のない道を辿っていると、ユダと名乗る人物に救助されます。しかし、ユダの正体は身体を再生する祝福者でべへムドルグ兵の1人です。

サンがアグニを見つけると、ユダは鎌でアグニの頭を切り落とし、部下たちにアグニの再生を遅らせるために銃で撃ち続けるよう命令します。

しばらくして、耐火布を頭に巻かれたアグニとサンはべへムドルグへ連行。

その後も銃で撃たれ続けるアグニは、帽子やゴーグルを取って素顔を見せたユダに、内心では動揺を隠せませんでした。ユダの姿は、死んだはずのルナそのものだったからです。

それぞれの戦い

奴隷として再びべへムドルグ兵に囚われたサンは、同じく囚われていた少女・ネネトと出会い、隔離された施設から脱出をはかりますが失敗。

べへムドルグ兵の祝福者で兄弟のジャックとイワンに拘束されて、生き地獄を味わされることに。

その頃、報復の機会をうかがっていたアグニは、撃たれた銃の弾を兵士に向かって吐き出してドマの炎で相手を燃やすと、自分の身体を一気に再生して、銃の弾を補充しに行っていた兵士を殺そうとします。

そこへ、忘れもしない炎の熱が吹き荒れて、アグニの動きを止めます

驚いたアグニが炎の方向へ視線を向けると、立っていたのは8年経ってすっかり老けた姿のドマでした

ファイアマン

ドマに向かって何度も攻撃を仕掛けるアグニ。一方のドマは完全にアグニのことや殺した村人たちのことを忘れていて、アグニの怒りに肩透かしを食うような言葉を放ちます

「どうしたら私を許す?」

「私が死ぬ以外で何でもする、どうすればいい!?」

とうとう怒りが頂点に達したアグニは、拳を勢いよく振り上げます。

場面は変わり、カメラの前で独白を行う女性・トガタが部下に見せられた1つの映像に衝撃を受けたことを熱く語っていました。

父から受け継いでいた映像作品をべへムドルグの襲撃で失ったトガタは、アグニを主役に自分が監督を務めて映画を撮ることにしたのだと話します。

まずはアグニとの接触をはかるトガタ。映画のタイトルは『ファイアマン』です。

2巻(9話〜18話)

引用:Amazon

何度燃やしても立ち上がるアグニの姿にドマは「自分を殺すまで立ち上がってくる呪いだ」と途方に暮れます。

ユダは一刻も早くアグニの無力化をはかるため、アグニの頭を電車で海まで輸送して捨てることにしました。

べへムドルグの再生祝福者が集い、大規模な作戦になったアグニの輸送

ユダやイワン、イワンの師匠でべへムドルグの英雄とも呼ばれているサイモン、大勢の兵士たちを乗せた電車が発車します。

カメラガール誕生

ネネトがイワンや兵士たちに襲われそうになっている車両に、カメラを持ったトガタが姿を現します。

助けを求めるネネトにはお構いなしで、カメラに収める映像のことだけを考えているトガタは、イワンたちに刺激的な映像になるよう過激なリクエストを繰り返すだけです。

ネネトは泣きながらトガタに「何でも、いくつでも言うことを聞くから助けて」と懇願すると、ちょうど映画撮影の助手がほしかったトガタはネネトを救うことに。

屈強な男たちをいとも簡単に殺したトガタは、物音を聞きつけてやってきたサイモンさえも秒殺して、アグニの姿をカメラガールに任命したネネトと一緒に探しに行きます。

車両に残っていたユダも殺し、トガタはユダの頭を電車から放り投げるのでした。

ユダとルナ

海に到着したトガタはアグニの頭が入ったケースを崖に設置すると、ケースに爆弾を仕掛けて、『ファイアマン』の登場シーンを演出します。

海に向かって吹き飛んだアグニの頭は、頭から下の身体を再生すると、変わらず全身に炎を灯したまま陸に上がってきました。興奮を隠しきれないトガタからの質問を無視し、アグニは同じく頭部から再生して復活したユダと対峙します。

ユダのことを、ルナが塵から再生して記憶喪失になった状態だと思い込みたかったアグニ。

しかし、ユダは過去130年分の記憶を持っていてルナとは無関係の別人であること、アグニが撒き散らす『消えない炎』から国を守るためにアグニを殺したいのだ、と立ちはだかるのでした。

2人の会話を聞いていたトガタは、アグニの境遇が映画を盛り上げる展開になることを確信して、ユダに襲いかかって再び頭部だけにすると、海に沈めてユダを殺そうとします。

ユダがルナかもしれない可能性を捨てきれないアグニは慌てますが、トガタには関係ありません。ただトガタは、アグニに復讐を諦めてほしくないのです。

アグニは神様

アグニの消えかかっていた復讐心を煽ることに成功したトガタは、ユダを逃す代わりにドマと対決する場面を撮影させてほしいと提案。加えて、アグニがドマとまともに戦うための格闘術と、べへムドルグに潜入するための『燃えない服』を授けることにしました。

不服ながらトガタの提案を受け入れることにしたアグニは、カメラの前でぎこちない『ファイアマン』を演じ、暇があれば300年分の知識を所有するトガタから過激な英単語を教わります。

一方、ジャックに捕まったサンは、寝具に拘束されてべへムドルグが繁栄するための『薪』として利用されることに。特殊な機械に繋がれて、死ぬまで電気の祝福を搾り取られることになったサン。

周囲で同じように拘束されて、絶望しているさまざまな能力を持つ祝福者たちにアグニの話を聞かせて、生きる希望を与えるのでした。

ファイアマンを殺そう!

『燃えない服』を完成させてアグニに格闘術を落とし込んだトガタは、「明後日、ドマを殺しに行く」と宣言。待ちわびた瞬間に、アグニは復讐心を募らせます。

しかし、翌日になってトガタはべへムドルグに単身で乗り込むと、ユダのもとを訪ねて「みんなでファイアマンを殺そう!」と無邪気に提案しました。トガタの欲望はどこまでも、映画を盛り上げるためのセッティングに忠実です。

べへムドルグ中に爆弾を仕掛けたトガタは、起爆装置を片手にユダと居合わせたジャックに「明日、ファイアマンを指定の場所まで誘導するから、ドマにファイアマンを殺させて」と命令します。

ドマすり替え作戦

トガタの命令に従うことにしたユダは、トガタの要望通り彼女をドマの元へ連れて行きます。

牢屋に拘束されたドマは心の病を患っていて、トガタが思い描いていたような人物ではありませんでした

「復讐相手としての魅力がない…」

ドマを目の前にしてひどく落ち込むトガタは、見栄えがよくて派手な能力を持った祝福者を求めてユダに、ほかの祝福者を紹介するよう頼みます。

ドマがいる場所よりさらに地下で拘束している祝福者たちの中から、強力な能力を持つ3人の『死刑囚』をドマとすり替える作戦に採用することにしたトガタ

よりバトルを盛り上げるために、べへムドルグの歴史が開始するより前から自身がコレクションしていた『パワードスーツ』を死刑囚たちに授けるのでした。

100年以上続く演技

旧世代の遺物をコレクションしていたトガタに、ユダは問いかけます。

「あなたはこの世界をどこまで知っているの…?」

300年生きているトガタは、世界で起きている全てのことを知っていました

『氷の魔女』が架空の祝福者で、実際は氷河期が地球を襲っていること。存在しないべへムドルグの王が神だと国民たちに教え込んで洗脳し、統率をはかろうとしていること。

終わらない嘘と演技で疲れ果てているユダ。

そのどれもがトガタには関係がないことです。彼女は自分が生きている間に、『ファイアマン』が完成すればいいのだから

3巻(19話〜28話)

引用:Amazon

耐火布で作られた服と、右腕にパワードアームを装着したアグニは、トガタとネネトと一緒にべへムドルグに向かいます。

べへムドルグに通じる裏道を通っていると、牢屋に閉じ込められた奴隷たちの姿を目の当たりにするアグニ。ようやくドマを殺して復讐が終わり、死ねる…と足早になっていたにもかかわらず、奴隷たちの「助けて」という言葉が耳に残ります。

奴隷たちを助けながらドマのところへ向かうことにしたアグニに対し、計画をめちゃくちゃにされたトガタは大慌て。

アグニはトガタと押し問答を繰り広げながら、ネネトに囚われているサンを連れてくるように伝えると、駆けつけてきたべへムドルグ兵たちから奴隷を守って戦います。

銃で撃たれながらも耐えて出口に差し掛かった時、アグニはユダが率いる危険な祝福を持つ死刑囚たちの元へ、鉄を操る死刑囚の能力によってパワードアームごと引きずり出されました。

そして、アグニはトガタが用意した全身を覆うパワードスーツに身を包んだ死刑囚の1人と激しい戦いを始めます。

何度殴っても立ち上がるアグニに、残りの死刑囚たちも加わって応戦。猛攻を食らったアグニは建物がある方向に吹き飛び、べへムドルグは消えない炎に包まれます。

燃えていくべへムドルグの光景を目の当たりにしたユダは、ようやく解放されるのだ…と依存していた全てのタバコを炎の中に放り込むのでした。

反撃の狼煙

抜け殻のようになったユダに代わり、奴隷や兵士を恐怖で支配してアグニに対抗させようと試みるユダの側近・ウロイ。

一方で、何度も立ち上がるアグニの姿を目撃している奴隷たちは、アグニを『神様』と崇め、兵士たちは『悪魔』だと恐れました。

アグニは、パワードアームに仕掛けられた耐火を解いて放つ一撃必殺『ファイアパンチ』を死刑囚に食らわせて死刑囚の1人を撃沈。さらに、鉄を操る死刑囚も上空で撃破します。

最後の1人・風を操る死刑囚は逃走しますが、通りがかった車の荷台に乗っていた男に首を切り落とされて死亡しました。

車の運転手に「お頭」と呼ばれた男は、心が読める祝福者です。彼はアグニの噂を聞いて、仲間たちとともにべへムドルグに駆けつけた『アグニ信者』でした。

氷の魔女

アグニと生き残った兵士たちが睨み合いを続けていると、べへムドルグ兵が所有している車が複数こちらへやってきます。

しかし、車を運転しているのはアグニ信者たちです。車から降りて姿を現した男は、兵士たちをバットで蹴散らすと、自分はアグニ信者だと名乗り、アグニからの神託を求めます。

まさか自分に信者がいるとは思いも寄らなかったアグニは、自身の体に触れて死のうとしているユダに手一杯だったため、奴隷をこの場から逃すよう伝えました。

兵士たちは奴隷たちを奪い返そうとはしません。すっかりアグニの戦う姿に恐怖を植え付けられて、身体を動かせなかったからです。

ウロイは炎の祝福を兵士たちに掲げて、自分についてくるよう命令します。

一方、奴隷たちを逃がしたアグニはユダに追いかけられていました。どうしても死にたいユダと、目の前でユダに死んでほしくないアグニ。

ドマごとべへムドルグを焼き払ったアグニにはもう、ユダが生きていることが自身の『生きる糧』になっていたのです。

『生きて』と言い残したルナの言葉と、ルナと同じ顔をして「一緒にもう終わろう」と手を差し伸べるユダ。アグニはユダの言葉に、生き続ける辛さを手放していいと言われているような気がして、その手を受け入れます。

全身が炎に包まれて倒れたユダを見て、ギュッと唇を硬く結んだアグニでしたが、彼の戦いはまだ終わりません。

ユダの頭を切り落とした何者かが、アグニの前に立ちはだかります。

「お前は…誰だ…」

その人物は、この世界にいるはずのない人物の名を口にしました。

「氷の魔女さ」

4巻(29話〜39話)

引用:Amazon

バットを振り回して戦うアグニ信者(以下、バットマン)が率いる仲間たちとともに、べへムドルグ兵の追撃から逃げるトガタたち。

拠点に向かう途中で、アグニの噂を聞きつけて「入信したい」という祝福者たちと遭遇し、彼女たちと協力して兵士たちを退け、拠点に到着します。

一方、『氷の魔女』と名乗る謎の人物から巨大な氷で身体を貫かれたアグニは、なぜ世界を氷漬けにしようとしているのかを彼女に問いかけました。

「寒くできるから、そうしたんだよ」

シンプルな答えに衝撃を受けたアグニは、これまでの痛みや死んでいった者たちのことが脳裏によぎり、目の前の相手は絶対に殺さなければならないと確信します。

しかし、アグニの抵抗は無意味に終わり、氷の魔女はアグニの復讐心を煽ると、ユダの頭部を持ち去ってしまうのでした。

アグニ教

氷の魔女が去り、突き刺さった氷から脱出したアグニは、近くに転がっていた焼死体を見て我に帰ります。

今日、自分のせいでどれほどの人が死んだのだろうか…と。

トガタやネネトたちがいる拠点まで、徒歩でたどり着いたアグニの心境に関係なく、解放された奴隷たちはアグニを『アグニ様』と神格化して崇めます。

動揺するアグニにトガタは、これからどのように振る舞えばいいのかを指示しました。

「今日からキミは助けた奴隷たちのために、神様の演技をしなくちゃいけない」

トガタの正体

食料不足で飢えに苦しむ信者を救うため、アグニは自身の燃えていない頭部の一部を食料として配布することに。アグニを神と崇める信者たちは『人肉』ではなく、神が与えたものとして受け入れ、アグニの存在はますます宗教化していきます。

ある日、べへムドルグ兵の3人が「アグニ教に入信したい」と拠点にやってきました。

トガタはアグニをさらに信者たちの中で神格化するため、兵士を『受け入れる演技』をするように教えます。

アグニの判断は信者にとって絶対ですが、バットマンは両親を殺された過去があるため、兵士たちの入信を拒否。自身の手で裁きを下す許可をアグニに求めます。

セリフを噛みながら、「兵士たちを許す…ましょう」と話すアグニのフォローに入ったトガタは、「許すことで、死後はアグニ様の炎で照らされた暖かい場所へ行けます」と、その場を鎮めました。

一方で、気がかりなことも打ち明けた兵士たち。「命令でドマ様を外へ逃がしました」と話す兵士の言葉に、アグニはやはり動揺を隠せません。

その日の夜、肉を切断するアグニとトガタの元へバットマンが現れます。

人の心が断片的に読める祝福を持つバットマンは、トガタを指差してアグニを裏切っているのだと指摘。トガタは知らないフリを貫こうとしますが、バットマンはトガタの正体を言い当てます。

「ひょうきんな女を演じている、女の体に覆われた男です」

その言葉を放たれたトガタの表情は、とても冷たいものでした。

破壊と再生の目的

氷の魔女に保護されたユダは、全身を『大量の謎の管』で繋がれてベッドに横たわっていました。

『炎の祝福』で暖炉に火を灯した氷の魔女は、自身をファンタジーじみた魔女のような存在ではなく、『スーリャ』と名乗ります。

スーリャの目的はただ1つ。世界を一度リセットして、次の世界を暖かくすることです。そのためには、ユダの存在が必要不可欠だと話します。

ユダに、生きている全ての生物の生命を吸い取らせて『木』になってもらい、地球の再生をはかろうというのです。

フードの中の素顔を晒したスーリャは、ユダと全く同じ顔立ちで幼さを残しながら、顔の半分から『木』が生えていました。ユダと自分は、世界でたった2人の『旧世代人』で、全ての祝福が使える人間だと説明するスーリャ。

4ケタもの時を生きてきたスーリャ自身も、『木』になって地球の再生をはかろうとしたことがありましたが、思いとどまるだけの『生きる糧』がありました。

それは、旧世代の文明で中途半端に終わってしまった『スターウォーズ』の新作を、新しい文明を発展させて自分の目で見ることです。

何万年かけようとも映画の新作を待ち続ける決意をしているスーリャは、自身の欲望のために地球を破壊することにしたのでした。

『ファイアパンチ』1〜4巻のポイント・伏線を考察してみた

漫画『ファイアパンチ』1〜4巻で押さえておくべきポイントや、ここまでのストーリー展開を踏まえた伏線考察を解説します。

今後の展開にも影響しそうな重要なポイント・伏線考察は次の通りです。

  • なぜルナとユダ、スーリャは似ているのか
  • トガタの正体
  • ドマの心の病

なぜルナとユダ、スーリャは似ているのか

©︎藤本タツキ『ファイアパンチ』第4巻より

ルナとユダはスーリャは、3人ともほぼ同じ顔をしている女性です。

それぞれ性格は異なりますが、似ているからこそアグニの復讐心を煽るための材料として作用しています。

スーリャは、自分とユダが似ている理由を『進化した旧世代人だから』だと作中で説明しました。

彼女たちはルナと関係があるのか、まだルナの生存ルートが残っているのか…?と考えさせられる展開は、読者がアグニに感情移入できるポイントの1つといえるでしょう。

トガタの正体

©︎藤本タツキ『ファイアパンチ』第4巻より

トガタの存在は、ただの映画好きと言い切るには魅力的すぎる人物です。

身体能力の高さや、バットマンが『女の体に覆われた男』と言い表した理由、趣味趣向がスーリャと似ている点など、これからの物語にどのように関わってくるのか見逃せません。

ドマの心の病

©︎藤本タツキ『ファイアパンチ』第2巻より

アグニと再会するまでの8年の間に、ドマは何らかの理由で地球に終焉が迫っていることを知った可能性があります。

ドマがユダに対し「あなたは…よくここでまともにいられますね」と発言したシーンは、架空の氷の魔女や国王の存在を作りあげて、皆を欺き続けるユダへの皮肉です

また、べへムドルグでドマが拘束されている理由は、地球が氷河期を迎えているという情報を誰にも話さないように、口止めするためだとも考えられます。

コミックス4巻では脱走したことが判明しているため、まだまだ物語に影響を及ぼしそうな人物です。

『ファイアパンチ』は飢餓と狂気に包まれたダークファンタジー

漫画『ファイアパンチ』のコミックス1〜4巻をネタバレ解説しました。

復讐心に燃えるアグニの『生きる糧』が揺らぎ、その度に誰かから煽られて立ち上がる姿は、これからどこへ向かっていくのか見逃せません。

コミックス5〜8巻の内容が気になった人は、電子書籍サービスを利用して読んでみたり、こちらの記事の『後編』を引き続きチェックしてみてください!

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