『親愛なる僕へ殺意をこめて』は、連続殺人鬼の父親を持つ主人公・浦島エイジが猟奇的殺人事件に巻き込まれるサスペンス漫画。
後編では、B一が10年以上かけて追ってきた真犯人の正体が判明します。
驚愕の犯行動機は、背筋も凍る内容!
果たしてB一は復讐を遂げられるのでしょうか?
雪村京花の、「今からエイジくんを殺すね」発言の後に起こった出来事も判明しますよ〜!
このページでは『親愛なる僕へ殺意をこめて』後編9〜11巻(80話から最終話)のネタバレ、重要ポイントについてまとめています。
ジャンル | 青年漫画、サスペンス |
作者 | 原作:井龍一・漫画:伊藤翔太 |
漫画雑誌 | 講談社ヤングマガジン刊 |
コミックスの総巻数 | 11巻 |
『親愛なる僕へ殺意をこめて』とは、原作:井龍一・漫画:伊藤翔太によるコミックスで、全11巻。
殺人事件があった数日間の記憶がない主人公が、自分が二重人格であることを知り、恋人を守るために事件の真相を追う物語です。
2022年10月から山田涼介さん主演(浦島エイジ・B一役)でフジテレビ系列でドラマ化されてています。
ちなみに、エイジの恋人・雪村京花役は門脇麦さん、エイジの義父・浦島亀一役は遠藤憲一さんです。
『親愛なる僕へ殺意をこめて』9~11巻(80話から最終話)までのストーリーをネタバレ
『親愛なる僕へ殺意をこめて』9〜11巻(80話から最終話)のストーリーをネタバレします。
物語はB一が義父・亀一に今までのことを謝罪するところからスタート。
しかし、亀一の怪我から、事態は思わぬ方向へ転がっていきます。
京花の「今からエイジくんを殺すね」の続きも判明し、伏線のすべてが回収されます。
B一の告白と懺悔
すべてを終わらせる決意をしたB一は、亀一にこれまでやってきたことの告白と懺悔をします。
今まで復讐を言い訳にして、連続殺人犯が実父という辛い現実から逃げていました。
「そのためにあらゆる人間を利用した。乙が京花を刺したのも自分のせいだ」
話を聞いた亀一は「なんてことを」と頭を抱えます。
「ごめん、父さん」と謝るしかないB一。
ふとB一は、亀一の腕のキズから血が流れていることに気付きます。そう言えば、昔から亀一は怪我が絶えませんでした。
B一はLLが拷問にこだわった理由は、自分自身が痛みを感じないからではないか?と考えました。
B一は亀一の手の甲に何度もナイフを突き刺すが、亀一は顔色ひとつ変えません。
「お前が殺人鬼・LLなんだろう」と、B一は亀一に言い放ちます。
浦島亀一のアリバイが崩れる
B一は、すでに亀一のアリバイを崩していました。
15年前の警察は「5人目の被害者・白菱凛はS県内の廃墟に監禁され、拷問の末LLに殺された」と判断。
そのため家族で北海道旅行をしていた亀一には、1,000㎞も離れたS県内にいる白菱凛を殺すのは不可能なはず…でした。
しかし、実は廃墟にいたのは白菱凛ではなく、本物の白菱凛は北海道にいたのです!(廃墟にいたのは、白菱凛と雰囲気が似た6番目の被害者)
11月15日に雪村京花が義父の車を借りて向かったのは、北海道。
そして、京花は白菱凛が北海道で殺害された事実を突き止めていたのです。
真犯人・浦島亀一
浦島亀一は、見事アリバイを崩したB一に拍手を送りました。そして、LL事件を起こした理由について話し始めます。
生まれつき壊れていた人間・亀一は、空虚さを埋めるために動物を殺すようになりました。
そして痛覚麻痺になった時、はじめて女性を殺害します。
その理由は…誰かを拷問している時だけが、生きている実感を感じられたから。
やがて『殺し』に飽きた亀一は、自分が抱えている虚無感を世間にバラ撒くために『殺人鬼・LL』という壮大な嘘物語をでっち上げることを思いつきます。
主役に選んだのは、八野衣真。
別に誰でも良かったのだが、真が入れていた入れ墨のアルファベットを入れ替えると「SATSUJINKI LL」になったから選びました。
亀一がエイジ(B一)を引き取ったのは、LL事件の副産物を特等席で見たかったから。
亀一はすでにエイジが二重人格であることも、B一が復讐に人生を捧げていたこともお見通しでした。
怒りに狂ったB一は、銃口を亀一へ。
亀一は、自分が腹を痛めて生み出した存在のB一に殺され、LL事件の真実が明るみに出ることを心から望んでいました。
このままでは亀一の思い通りになってしまうと思ったB一は、亀一を殺しませんでした。亀一は警察に逮捕され、死刑が求刑された。
雪村京花のもう一つの罪とエイジの最期
1年後の裁判で、B一は「雪村京花のもう一つの罪(畑中葉子を殺した以外のもう一つの罪)」について話します。
それはエイジという人格の殺害。
11月18日、雪村京花は「今からエイジくんを殺すね」と言った後、「あなたは人格だけの存在で中途半端な存在なの」とエイジの正体を明かしてアイデンティティーを崩壊させました。
京花はエイジを消してB一と統合させることで、LLの息子にふさわしい人格になることを求めていました。
しかし、それだけではエイジは死にません。人格であるエイジが死ぬには、エイジの意思が必要だから。
エイジにとって、たとえ凶悪なモンスターでも京花は変わらず大事な存在。LLの息子として悲惨な人生を歩んできた中で、京花だけがあたたかい居場所だったから。
エイジは、京花が本当は絶対的に自分を受け入れてくれる存在を求めていることに気付きます。
そして京花のために自ら消えることを決意し、京花に絶対的な愛情を伝えて消えました。
「世界中が敵になっても俺だけは京花ちゃんを愛している」
雪村京花の後悔
雪村京花がB一に「私を刺したのはLL」と嘘を教えた理由は、B一に復讐を遂げさせて消えて欲しかったから。
京花はいつの間にかエイジを愛しており、もう一度会いたかったのです。
しかし、一度消えた人間が戻るはずもなく、京花は子供のように号泣。
エイジの究極的な愛が、京花に大切な人を失う痛みを取り戻させたのです。
エピローグ
2年間の刑期を終えたB一が出所し、真明寺麗が迎えました。麗は探偵事務所のボスになっており、時折B一をこき使います。
そしてエイジの親友だった柏木サトルは、エイジのためにB一を許せるように努力すると言いました。
今ではB一はエイジの記憶を完全に共有し、エイジの癖も移っています。
今日もB一は肉体労働で汗を流すが、その目には希望の光が宿っているのでした。
(完)
『親愛なる僕へ殺意をこめて』9~11巻(80話から最終話)の重要ポイント
『親愛なる僕へ殺意をこめて』9〜11巻(80話から最終話)の重要ポイントについて解説します。
京花が北海道に行った理由
11月14日にはじめて亀一に会った京花は、手の怪我から直感的にLLかもしれないと思いました。
しかし亀一は白菱凛が殺害された日に北海道にいたという完璧なアリバイがあります。
そこで京花は、亀一のアリバイをつぶすために11月15日に北海道へ。
目的は、姉・白菱凛が残したメモの電話番号の主に会うためでした。
白菱凛は家を出る時、妹の京花に電話番号が書かれたメモを渡して「どうしても耐えられなくなったら電話してね」と告げていました。
その電話番号は、白菱凛の北海道での勤め先だったのです。
11月15日に京花は電話番号の主に会い、白菱凛がS県内の廃墟ではなく北海道で殺されたことに確信を持ちます。
同日に北海道にいた亀一は白菱凛を殺す機会があり、アリバイは崩れ去りました。
白菱凛が北海道にいた理由
15年前、白菱凛は妹の京花だけが虐待される家庭環境に耐えかねて、八野衣真の店で売春をしていました。
そして当時「夜逃げ」を手引きしていた真に、どこかへ逃がしてくれるように依頼。真は凛を北海道に逃がし、現地で浦島亀一が迎えました。
真は亀一が凛の世話をしてくれると信じていましたが、亀一は凛を拷問して殺したのです。
京花と浦島亀一の関係
京花と浦島亀一は共犯関係ではありません。
北海道から帰った京花は亀一=LLに電話をし、11月18日に京花の生家に来るように言いました。
京花の目的はB一に亀一が本物のLLであることをバラすことでしたが、浦島乙に刺されて計画はオジャンになったのです。
S県内の廃墟にいた女性は?
S県内の廃墟に縛られていた女性は、白菱凛ではなくいまだ発見されていない6番目の被害者。
浦島亀一が今までの被害者とは別の場所に遺体を埋めたため、警察は発見できなかったのです。
真犯人・浦島亀一の犯行を時系列で解説
- 3月19日
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浦島亀一が白菱凛を失踪に見せかけて北海道に向かわせた
- 3月19日前後
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浦島亀一が白菱凛に似た女性を拉致してS県内の廃墟に監禁。
- 3月23日
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S県内の廃墟に行った真明寺麗がその女性を発見する。
- 3月24日
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S県内の女性は6番目の被害者で、本物の白菱凛は無傷で北海道にいた。
- 3月29日
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浦島亀一が拷問の末、白菱凛を殺害。
- 3月30日
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北海道からの帰りにレンタカーで白菱凛の遺体を運び、途中で家族を降ろして、白菱凛の遺体を埋めた。
幼い真明寺麗に白菱凛に似た女性の遺体を発見させるなど、浦島亀一の殺人計画は狡猾で抜け目がないことがわかります。
唯一の誤算は、目撃者だった白菱凛が警察に通報しなかったこと。
しかし亀一は後から廃墟に白菱凛の血液や毛などを残し、警察に白菱凛はS県内の廃墟で殺されたと思い込ませることに成功しました。
亀一は優しい仮面を被った悪魔だったのです。
B一が亀一にトドメを刺さなかった理由
人生のすべてを掛けて復習に燃えていたB一でしたが、真犯人・浦島亀一を殺しませんでした。
その理由は、亀一がB一に殺されることを心から望んでいたから。
亀一がLL事件を起こした理由は、空虚に生まれついてしまったことへの復讐。
B一も父・真の復讐に燃えており、悪意に悪意で返すつもりでした。
しかし、亀一を殺せば悪意のバトンを受け継ぐことになり、悪意の連鎖は止まらない。
そのため、B一は亀一を殺しませんでした。
浦島エイジが最後まで京花を愛したことが、B一に大きな影響を与えていたのです。
まとめ
『親愛なる僕へ殺意を込めて』9〜11巻(80話から最終話)を後編として解説しました。
15年前の連続猟奇的殺人事件と八野衣真の冤罪から始まり、畑中葉子殺人事件に、エイジという人格の殺害など、おぞましい事件の連続だった本作。
謎が多く、考察しながら読み進めるのが非常に楽しい、読み応えがある作品でした。
ラストは日々に少しの希望を感じているB一の姿が描かれており、耳を触るなどエイジの癖も受け継いでいます。
今もエイジが確かにB一の中にいることを感じさせる、ミステリー・サスペンスのジャンルながら後味が悪くなく、希望が持てる結末でしたね!
同コンビによるミステリー・サスペンス最新作『降り積もれ孤独な死を』も連載中ですので、そちらもぜひチェックしてみてください。